ゴルフ仕事で千葉方面に出かけた時のことです
時折ハイヤーを利用される方で私も何度かお供をして、顔なじみです
そのせいか、一般のお客様より親しげに話かけてくるそういうタイプの方でした。
本社が地方にあって、出張で東京に出てこられるとよく利用されます。
その日のゴルフは会社の取引先が主催するコンペで女子プロと一緒にプレーするという企画となっていました。
ゴルフは企業人の文化
お客様からたまに聞かれることの一つに
「ゴルフはされないのですか?」
というのがあります。
「ある」と答えが返ってきたらゴルフ談義に花をさかせられるのに。。。
そんな気持ちがあってなのか、あるいは私のいでたちが、ゴルフができるほど余裕ある姿にみえたのでしょうか
そうであれば、それはそれで嬉しいのですが、私の場合は、ゴルフのクラブセットは所持しているものの
コースに出た経験は一度もなく10年以上も前に前職のゴルフ好きの上司に誘われて一度だけゴルフ練習場に連れて行かれたのを最後に、クラブはお蔵入りとなりました。
ですから、はっきり言ってゴルフに対する知識はゼロに近い
ゴルフができるような身分なら、きっとハンドル握ってないですよ
ネガティブな時は心の中でそうぼやいたり・・・
しかし、たびたび仕事でゴルフ場に来るようになると
日本の企業人たちが仕事、そしてプライべーとで、
いかにゴルフを愛し活発に行っていることがわかります。
会社役員ともなると、ゴルフも「仕事」の一つになっているようにも感じますね。
これは世の奥様方にはなかなか理解されない「男の世界」
企業内、あるいは取引先との交歓、交流の潤滑油として活用していることは間違いありません。一つの文化です。
「もしもし、終わりました。車を回してください」
正面玄関に車をつけるとビールか何かをひっかけた感じで、若干顔が赤らんでいて
後部座席に乗り込むや
「いやー きょうは参ったね、 やっぱり基本が大切やな」
いきなりどうしたのかと思ったら今回女子プロとまわりながら、自分の知らないところで動画撮影されていて
プレー終了後のコンペ表彰の場で自分のプレーする姿を大画面でみんなの前でさらされるとともに女子プロから、スイングについて色々と指摘を受けたというのです。
「あんな経験生まれて初めてだね。
あんなぶざまな格好をしてプレーをしていたなんで
ちょっとショックやった・・・」
と言われるわけです。
「今までどなたかインストラクターについて指導を受けたことが
なかったのでしょうか?」
そう聞いてみると
「いや一度もない」
「そうなんですか・・・」
テレビなどでプロのプレーを見ていれば
自分のスイングがどれほどできていないのか一目見ればわかります。
私はハンドルを握りながら
このお客様のへっぴり腰でクラブを振り合わす姿を想像し、思わずにたりと笑みを浮かべてしまいました。
すると
「基本というのは大事なんだなあ。自己流はやっぱり駄目だね・・」
独り言のようにつぶやかれたと思ったら
「車の運転もやっぱり基本というのがあるんでしょ?」
あれ?
話の矛先を私の方に向けてきたので
これはもしかして、私の運転に落ち度があったのかと、今度はお客様の出方に探りを入れるようにして、
「はい、ございます。 ハイヤー乗務員として入社して最初の3か月間はみっちりと基本を学びますし、 教官が同乗して運転技術の指導も受けます。」
そう答えたのです。
「違うんだよね、 なんかね、安心感がね・・・」
話しぶりからして、私の運転に対して指摘しているのではないことはわかりましたが・・
「本社でも車があるんだけど・・・
今乗っている車とおんなじなんだけどね・・」
どうやら、このお客様は本社専属の運転手に対して不満を吐露していたのです。
東京出張の際は私の会社と、もう一つ大手のハイヤー会社の車を利用するらしいのですが、出張に来て車に乗るたびに本社運転手との比較をしてしまう。東京の運転手は任せられる半面、本社の運転手は一生懸命やっているんだけど、なにかぎこちない。乗っている人を緊張させるような、お任せモードにならないんだな。
やたらと発進時に体にGがかかる・・
運転センスがないのかな・・・
酔った勢いなんでしょうか、本音丸出しの発言でした。
なるほど、それで運転の基本について聞いてきたんだな
お客様の腹のうちがようやくわかりました。
お客様は感じている
色々な車に乗る人は、当然車に乗った瞬間から無意識に快不快を感じますから、そこで運転技術が比較されます。
上場企業の役員ポストに収まる人となれば、一般に高学歴でありますし、普通の人よりもいろいろな意味で能力が高い。
人を見抜く力も当然長けているわけで、ドライバーの運転技術にとどまらず、ちょっとしたしぐさや言葉遣いの対応などから、無言の評価をしていることでしょう。
以前私が新人時代にダメ出しをくらった話(「おたく 最低だね…」新人時代の苦い思い出)でも触れましたが、人は自分の不快感を許容できる基準線を潜在的に持っていて、その線を越えてしまうとクレームとして不満が露出し表面化されてしまいます。
このお客様は、その運転手に直接言ってやるべきか否か、乗るたびに考えてしまう・・・と愚痴をこぼしていましたが、よほど目に余る状況なんでしょう。
ただ、その運転手は誠実な姿勢があるだけに、私から運転の基本についてを聞き出して何か技術的なアドバイスをしてやろうかと思ったのでしょうか。このお客様が今日女子プロから基本指導を受けたように・・
木更津から東京湾アクアラインに伸びる直線コースを走る頃になると会話はすっと消えて、後ろから静かな寝息が聞こえてきました。
よーし、このまま自宅到着まで目覚めさせないような運転をやってやろう・・
いつになくアクセルやブレーキワークに神経を使ったせいで。
久しぶりに気疲れしました。
やれやれ
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