走れ!東京ハイヤーマン 

ハイヤーの料金は高い? でも餅は餅屋に…

ハイヤーの料金は高い?

ローカルニュースで、現福岡市長が東京出張時の移動手段として、ハイヤーを使用することがなかば状態化していることが調査によって明らかになったという報道を目にしました。

その記事によると、
市長は30代 東京に出張の際タクシーを利用する場合もあるけれども、大半がハイヤー利用だったということで、市長就任3年間でハイヤー使用料は実に340万円にもなっていると指摘。

これも、あの号泣した兵庫県議員の件を通して、今まであまり意識されずにいた地方自治議員たちの行動に目を光らせるようになってきたことの表れなんでしょうね

ハイヤー使用料金の高さ

開示されたハイヤー使用料の明細をみると

紀尾井町~永田町~都市センター~永田町~霞が関~赤坂~紀尾井町

といった経路を使用して、請求金額は
67,910円

さて、これを高いとみるか、許せる範囲とみるか・・・・

走行距離だけを取り上げて単純計算すればタクシーならば、それぞれの区間でほぼワンメーター。したがって、多く見積もっても料金は5000円程度

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もう一つ挙げていた明細は

紀尾井町~霞が関~紀尾井町~平河町
11,812円

この経路ならタクシーで3000円以内で済むじゃないかというわけです。

地下鉄を利用すれば、丸ノ内線「赤坂見附」から「霞ヶ関」まで一駅。往復340円で済む計算だし、紀尾井町と平河町は隣接しており、歩いた方が早い場合もある。

市長がハイヤーを乗り回しているのは大半が永田町や霞が関の周辺。

こうしたハイヤー使用で、費消された税金は3年半で337万3,386円に上る・・・。
まだ若いくせして税金を使い黒塗りの車に乗って、大物政治家を気取りとは何事か。

とまあ、かなり細かな指摘をしながら噛みついていたわけです。

記事を読みながら、
金額だけみれば、市長として確かに庶民感覚を失った問題行動であり、税金の無駄遣いにあたるということになるかもしれない・・・

しかし・・・、
先の号泣県議員とはちょっと質の違った話ではないのか・・

このハイヤー料金に関しては、額面の金額をもって非難したい気持ちはわかるのですが、
一方で、市長が、なぜ料金が高くてもハイヤーを利用するのかをもう少し掘り下げて考えるべきではないのか。

私はこの記事を読みながら、反論したい思いがむくむくと湧いてきたのです。

あえてハイヤーを使用する理由

そもそも、なぜ市長はハイヤーを使用するのでしょうか。

ハイヤーを利用する人は、単純にある地点からある地点までの移動手段として利用するというよりも、ある時間からある時間までを利用するといった観点であるということ。ここが大きな違いでしょうね。

これは、一台の車を利用者のスケジュールに合わせて「拘束する」ということになります。

時間で縛るわけですから、タクシーが単純に走行距離を主体として料金が請求されるのと違って当然割高にもなるわけです。

そして、この市長の場合、タクシー料金が安いとわかりながら利用しないのには以下のような理由が考えられるのではないでしょうか。

理由その1 タクシーを呼ぶ、拾う面倒

永田町界隈に流しのタクシーが頻繁にあれば別ですが、行ってみればわかります。タクシーはほとんど走っていません。あんなところ流したって誰も手をあげる人はいないからです。みなさんそれぞれ自分の車を使用しているからで、もしタクシーを使うのであればあらかじめ呼んでおかなければなりません。

タクシーアプリがあるといっても、普段から使用していれば別ですが、
意外にこれが面倒です。

理由その2 移動先をいちいち告げなければならない。

新人さんや、あの界隈に詳しくない運転手に運悪く当たったら最悪です。場所はナビでわかりますが、どこから建物内に入ればよいのか、車寄せはどうなっているのかわからずにもたもたやっていれば、こっちがしびれを切らして、

いいよ、ここで降ろして!

となって余計な時間を必要としてしまいます。

理由その3 料金決済の煩雑さ

現金払いであれ、カード決済であれ、降車するたびに清算するわけで、要人たちと重要な話をしながら移動している中で話を途中で区切って数分間、利用料金の精算処理のために
時間を割かなければならないバツの悪さは
味わってみればわかりません。

理由その4 体裁が悪い

タクシーを貸し切りにしたら、もっと安くなるじゃないかという声もでそうです。

確かにタクシーを貸し切れば料金は安くなることが予想されますが、「貸し切る」ということは単純に距離だけの計算にならないために安くはなりますが、大幅にとはいかないのです。

また、公人の利用となれば、永田町界隈、官公庁や議員会館などに出入りするでしょう。
それらの駐車場で「貸切表示」をしたタクシーを見ることはないんですね。

これはちょうど強制はないが、礼服でネクタイ着用が当たり前の会場にカジュアルな格好でいるのと似ています。

誰もその人に対して面と向かって咎める人はいないかもしれません。
しかし、周りの視線が気になる本人自身がいたたまれなくなるといった、いわば、心理的な問題も出てくるというもの。

いかがでしょうか。

これらの理由は「時間」と「心理面」に関係することばかりであることがわかります。

料金の高さには理由がある

中央にまで言って用を足すためには中央官庁のスケジュールに合わせなければなりません。

県だけでも47もあるんですからね。
あらかじめ決められた時間内に人に会ったり会議をするため、分単位で動かなければならないことも出てきます。

ハイヤーの場合、
一日の移動スケジュールを事前にその営業所に送っておけば概算料金が算出されます。
これは電話やメールでできること。

利用当日、担当のハイヤー運転手は指示書をみながら利用者の準秘書に変身です。

黙って乗り込んでこられても急な御客様が同乗され、行先が変更されても迅速に対応し、
また最短時間でご案内するように配慮します。
時間が最優先なのです。少々遠回りをしても、高速道路を使用してもそれが問題ではないのですね。

ですから、有能なドライバーであればあるほど次の目的地の確認ができれば、頭の中で最短最速の経路を割り出し、さらに車の付け場所、そして降車後の動線も考慮し、安全を確保しながら快適な運行を心掛けるのですが
これらはみな目には見えないものばかり何事もなかったかのように、ごく自然に、スムーズにことを済ませ・・

行ってらっしゃいませ・・・

そういって御客様を送り出す。
このような業務を日常当たり前のように行っているのがハイヤーです。

乗車した人は自分の事務所がちょっと移動しただけのような感覚で余計な気を使う心配もなく目的の仕事だけに集中していくことが可能になるわけですね。

ハイグレード車両は最近タクシーも利用しています。しかしこれは目に見えるところ。
見えない部分にタクシーとの大きな「違い」が生じるわけで、
この「違い」の部分に値段をつけてハイヤー料金として提示しているためにおのずと料金が高くなるのです。

「心理面」だけなら利用者がすこしばかり「我慢」すれば済んでしまうのですが、「時間」はそうはいきません。

ハイヤー利用者は「快適さ」という精神的な面と「時間」を買っていることになりますね。

時は金也でしょう?
ですから、市長として東京にあがる目的を中心に考えると、タクシーよりもハイヤーの方がベターとなるのです。

餅は餅屋で

ハイヤーは高いといって経費を考えてタクシーを利用するとなると、目的とする仕事のスケジュールをみて移動手段確保をサポートする「もう一人」が必要となるでしょうね。

そんな人を一人、東京に常駐させる。
あるいは出張のたびに同行させるとなると
その人件費、滞在、移動経緯などでハイヤー料金並み、いやそれ以上の出費が生まれるでしょうね。

だから言ったでしょ
餅は餅屋にまかせなさいって!

もし経費に関して指摘したいのであれば
市長!
あなたが東京出張の際、使用されるハイヤーの利用料金に見合った、いや、それ以上の経済効果を地元にもたらすため、
あなたの掲げた政策をして就任期間中、どれほどの成果が出たのか具体的数値を示していただきたい・・・

もし、それがマイナスなら今後どうすべきか、明示していただきたい・・・
政治家なんですから、政策を立案し実行していく仕事をしているのですから、やっている仕事の中身をもっと追及すべきではないでしょうかね。

いかがです?

それでもハイヤーの料金は高いでしょうか?

 

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