走れ!東京ハイヤーマン 

ハイヤーの事故

車の仕事をしていると事故とはいつも背中合わせであることを感じます。
昨日もお台場で、いつもなら車の流れる二車線道路が何故か詰まっているので、どうしてだろうと見ていたら、前方に警察車両の赤ランプが点灯しているのが視界に入ってきました。

なんだ事故か・・

昼間の2時、明るく見通しの良く別段事故を起こすような場所ではないのに
どうしたことでしょうか。

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見ると、
タクシーがBMWの後方に左先端部をぶつける形で中央車線上に止まっていました。
どうやら車線変更の時に前の車が急ブレーキをかけたのでしょう。
車間距離が詰まったことにより追突した模様でした

事故を起こす原因

事故というのは、一瞬の気のゆるみや、焦る気持ちから引き起こされること多く、落ち着いて基本をきちんと守ってハンドルを握っていれば、比較的避けられるものです。

生身の人間なので、事故のリスクを全く無くすことができませんから、ハイタク会社としては、全乗務員に対する注意喚起のために、事故が発生すると、その詳細を写真と図解で営業所内に大きく掲示しています。

我が営業所では損害額までも示され、事故を起こすとこれだけ会社に損害を与えるのだと、きつくお咎めするわけです。時折交流する日本交通の乗務員さんの話では営業所内の啓示に個人名も出されて、晒し者状態となると言ってました。

私は常々、張り出された事故状況を詳細に見ながら自らを戒めるようにしています。
自分も気が弛んだらああなるのだ・・・と

実車中の事故

私は過去に一度、実車中に事故を起こした経験があります。
原因は 「焦り」 からでした。
進行方向、目的地に向かう車線とは違うレーンに車が入ったことに気付き修正しようと慌てたんですね、そのレーンは車線変更禁止の黄色い線がひかれていたのですが、このまま進むと時間的に大きなロスが生じることが目に見えていたこともあって、そこに「焦り」が生じたのです。

後方をろくに確認せず、ウィンカーを出すのとほぼ同時に、さっとハンドルを左に切ろうとしたその瞬間でした。
左後方から大型のトラックが私の左横を追い越して行ったのです。
そのすれ違いざまにドンと鈍い音がして車が揺れました。

ああ〜、やってしまった…

体に感じた衝撃が大きかったことから、車の横っ腹がえぐられているぞ…
すぐに頭の中でその状況を想像し顔から血の気が引いていくことがわかりました。

表に出て確認してみると
あれ?
ドア部分にはかすり傷一つ見当たらず、ぶつかったのはサイドミラーで、ミラーを覆っているプラスチックカバーが破損しているだけでした。

私は思わずほっと胸を撫で下ろしました。
と同時に過ぎ去っていった大型トラックが100メートル前方でハザードをたいて路肩に寄せて停止している姿が目に飛び込んできました。

そのまま行ってしまわなかったんだ・・・。
「申し訳ございません。
この後のご予定はいかがでしょうか?」
後部座席にいたお客様に状況を伝え、平謝り

事故対応はマニュアルに沿って処理

研修期間に、もし事故になったらどのように対応すべきかを徹底的に教育されます。
それでも、いざ起こしてしまったら頭は真っ白になって、まず何から手をつけるべきかわからなくなります。
とにかく気を落ち着かせて冷静に頭を使うようにし、実車中ならば乗車しているお客様に簡単に状況を報告し事故対応に時間を要するため、お客様の予定したスケジュールに支障が生じるか否かを確認して、それに応じた対応を迅速にすべきでしょう。営業所に連絡し、代車を要請するとか、タクシーを呼んで対応するとかです。

私の時は、お客様から要請を受けて、空いた時間を埋め合わせるために予定外の行き先に向かう途中だったので、お客様に支障をきたすということがなかったのは不幸中の幸いでした。
とはいっても、事故対応に慣れているはずもなく私は半ば泡を食った精神状態に・・
お客様の方がどっしりと構えて冷静にしておられました。

本来ならば、乗客や相手方の身の安全や健康状態を確認し、次に警察に連絡するというのが手順となっています。この時は、たまたま事故現場から目と鼻の先に交番があって連絡する前に警察官が異常を察知したのか、すぐに近寄ってきたのには驚きました。
ですから、一挙に気が楽になって、すぐさま営業所に事故を起こしたことを報告しました。

更に、接触したトラックの運転手も誠実な方だったこと
相手方トラックには損傷個所が見当たらなかったと
警察を挟んだ現場検証もスムーズに処理されたことなど、不幸中の幸いが続きました。

処理終了後も

どのような事故であれ、一旦起こしてしまうと、こちらに非がある場合は、相手に対する謝罪、そして実車中であれば乗車されたお客様に対する陳謝、そして、車両の損傷個所の修理や保険処理などが待っています。

この一連の事故処理に対し、会社はさすがプロフェッショナル
営業担当者、及び事故処理専門の担当が迅速に処理していきます。
乗務員は相手方との折衝にほとんど関係することなく全て会社が対応していくので、乗務員のすることといえば、事故報告書を克明に記載し、始末書を作成。営業所長に提出して、最後は所長より直接訓戒を受け反省することです。

いつまでも一つに事故に関わって業務に支障をきたさないようになっているこの体制に、はじめは驚いてしまったものです。

乗務員へのペナルティ

事故処理は確かに担当者が乗務員に変わって動いてくれますがペナルティは当然ながらあります。
私の会社の場合は給与からの一定額(1万円)の天引き、さらに賞与の査定にも影響します。
損害額に比例してペナルティが大きくなることがないという点でこれが会社に所属する利点の一つであるということでしょう。

だからと言って、平然と構えるというのはどうでしょうか。
やはり社内の人間関係を考えると、処理にあたった営業担当者や事故処理担当者には、相手方や顧客対応で自分に代わって頭を下げていただいことに対する謝意を示すべきですね。

ペナルティといえば
企業に出向し、役員車を担当している乗務員の場合は事故を起こしてしまった時の乗務員の初動がどうなのか、実車中であれば一部始終を目の前で見せられますから、対応いかんによっては、いわゆる「ダメだし」を食らい、最悪、担当交代を言われるケースもあります。

また、3か月以内に再び第一原因の事故(当事者が起こす事故)を引き起こした場合はかなり厳しく詰められますし、3度目になると解雇を言い渡されるケースもあります。

自損事故であっても注意散漫が改善されないともなれば、
あなたはこの仕事に向いていない
という判断を下されてしまうのです。
これは当然のことでしょう。
特に新人研修期間にこういうことがたまに起こります。

もう二度と事故をおこすまい

これは自分に対しての戒めですが、最も注視すべきは

慣れからくる漫然とした運転

これは絶対禁物、事故を呼びます。

適度な緊張感をもつべきですし
空車、実車にかかわらず、落ち着いて、基本に忠実なハンドルさばきを心掛ける。
仕事でハンドルを握っていることを忘れないように
そうすることで、事故を最小限度食い止めることができる
そう思っています。

気をつけていても、事故は日常あり得ることですが、できれば極力避けたいもの。
お客様は私の運転を信じて体を預けているということを忘れないように、その信頼に応えるべく
今日も安全運転でまいりましょう。

 

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