乗務員控室に週3回来る掃除のおじさん
お疲れ様、とあいさつの言葉をかわす程度の関係なんですが、
2回ほど別の人が掃除に来ていたのを見て
再びそのおじさんが控室に入ってくるなり声をかけてみました
「どうしたんですか? 2回ほど見えませんでしたね。」
普段ほとんど会話を交わさないのに
ここぞとばかりおじさんは口を開いて
「たまたま親戚が亡くなって里帰りしてたんだよ」
「たしか故郷は新潟でしたよね」
以前交わした会話を思い出して聞いてみました。
「そう。海沿いの町でね」
こんな会話を皮切りに話がいろいろと展開しまして
このおじさんがかつて両国で蕎麦屋をやっていたという話になりました。
「雇われていた方が楽だもの」
ということで、店を畳んで今の掃除の仕事に就いたというのです。
蕎麦屋と聞いて私は、
「都内で目にする看板といえば「ゆで太郎」や「小諸そば」「富士そば」のようなフランチャイズ展開をしているところで、
結構良い場所にあって、それなりに繁盛してるみたいだけど、そういう店が増えたせいで個人のお店はなかなか経営が厳しいかもしれませんね」
そういうと
「俺の仲間たちもみんな店を畳んだな
衛生面での管理が大変なんだよ、虫とか髪の毛とかが入ったりしてね・・・。昔はさ 自転車に乗って肩に担いで回ったもんだよ
何段も積んでよ・・・」
この時点で私の脳裏に「ゆで太郎」の写真がにわかに浮かび上がりました。
ゆで太郎の創業者が高く積みあがった出前のどんぶりの山を肩にかついで涼しい顔をしながら自転車の脇に立っているあの写真
まるでサーカスの曲芸のような風景
これだけ蕎麦やうどんを愛しているなら気持ちも腕っぷしも強かったでしょうから、きっとカリスマ的存在だったに違いない・・と勝手な想像をしたりしてました。
ところで、この掃除のおじさん
あの写真のように、毎度かなり積み上げて自転車に乗っていたんだとか。
ところが不届きなことに、下働きの時に運ぶ途中でどんぶりをこぼして、そのまま捨ててきたというのです。
お客さんからクレームをもらわなかったのかと聞くと
「いやいや、昔はね、道路っ端のところどころにゴミ箱が置いてあってさ、そこに捨ててきたりしたんだ」
「えっ?」
私は、いくらなんでもそれって話がおかしくないかと思って、さらに聞き返したのです。
「だって、注文受けた出前がお客さんのところに届かなければ
お客さんは当然店に文句いうでしょうに」
「いやいや、何段も積んで自転車で運んでいたのはお客の食べ終わったお椀や皿なんで・・・」
ええっ、なるほど・・・
ここでわたしがあのゆで太郎の写真を自分勝手に思い込んで見ていたことにようやく気付いたのです。
そうだよなあ
具も汁も入ったお椀をあんなにもうず高く積み上げたら重たくて自転車に乗れないよな。
おじさん曰く
「あの蕎麦屋の写真は8段積んでいるんだけど
中身が入っていたら重たくて2段にして持っていくのがやっとだよ」
確かに・・・
苦笑いしかでませんでした・・
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