プチ贅沢のお手伝い

人というのは自分の置かれた立場や視点で目の前に展開する世界を見ているものです。

時折、初めてハイヤーをご利用されるお客様をお乗せするとそんな「視点の違い」「感覚の違い」を意識させられます。

初めてハイヤーを利用するお客さま

ある女性の御客様がハイヤーをご利用されました。
ドアサービスをしようとすると

「いいんですか?」

この一言で初めてご利用されるお客様であることがわかります。

「どうぞ」

と笑顔をつくってご案内すると

「どうもすいません」

といいながら、何度も頭をさげて
まるで私に謝るように恐縮した姿で車に乗り込みます。それも頭から・・・

一緒にいた友人らしき女性を反対側(運転席側)にご案内しようとしたら
最初に乗り込んだ女性が車の中ですでに運転席側に移動していました。

あらあら・・・

あわてて、外にいた女性を助手席側後部座席へ招き入れドアを締めます。

車内にて一通りの挨拶と目的地を確認すると
「よろしくお願い致します」とまたぺこりとお辞儀
普段利用されるお客様とはまったく違う反応にこちらも恐縮してしまいました。

この日が何かの記念日で、「プチ贅沢」という言葉がありますが
どうやら自分たちへのご褒美でハイヤーを初めて利用されたらしいのです。

さて、
今回持ち込んだ車は平成17年度式トヨタの通称「ゼロクラウン」
室内は小奇麗にしてありますが、排気量2.5ℓ 20万キロ以上の走行距離
エンジン音も少々気になります。

それに、右足の緊張を緩めてブレーキを踏むと、すぐにカックンと車がゆれる運転者泣かせの癖のある車。
こういうお客様だったら、せめて、平成20年代の車でお迎えにあがりたかったというのが私の気持ちです。

ところが後ろから

やっぱりタクシーと違うわ
ハイヤーは車のグレードが高いわね

という話し声が聞こえてくるではないですか。
失礼ながら、このレベルの車で「いいわね」と感激されるんだったらマジェスタやレクサスクラスにお乗せしたらひっくり返るのではないかと思われました。

感性が鈍っていないか

私たちは仕事で色々な高級車に乗る機会をもつあまり、車やサービスに対してお客様がどういう感覚で受けているのか、いつしか、感性が鈍ってしまいます。

ほんの15分程度の移動、距離にして3キロもなかったでしょう。
ですが、非日常を演出するおもてなしは時に人を緊張させるようです。

お客様の感激される姿に
なるほど、そういうものか
と改めて自分の立場を考え直しました。

お客様にとっては大変濃い時間だったに違いありません。
きっと車窓から見える普段の景色も違って見えたことでしょう。

私の課題

降車されたあとハンドルを左に切り、路地に入って伝票にメーターの数字を書き込みながら
こうすればよかった
ああすればよかったと
色々な思いが湧いてきました。

そうなんです。
優秀な乗務員であればそんな緊張したお客様に配慮し、洗練されたユーモアある会話の一つでも差し上げて気持ちを和ませ、もっと快適に送り届けたに違いないのです。

目的地まで単純にご案内するのであればタクシーと同じ。
こういったプチ贅沢のお手伝いの時にどこまでお客様の場に入っていけるのか、ハイヤー乗務員としての腕の見せ場になるんですが、

そのさじ加減がもう一つつかめない自分が正直もどかしくなります。

一期一会のおもてなし
ベストを尽くして応対したいもの。

まだまだですね・・・

 

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