「おい、おい、なんだよ、それ」
会食のお客様を待っていた時のことでした。
自分の前にハザードをたいてバックで駐車してきた新型フーガ。
がっしりとした車体はとても見栄えがいいなあ、などと見ていたら、
中からひょろっと背の高いドライバーが出てきました。
何やらあたりをキョロキョロ見回して
どことなく落ち着きがありません。
トランクから毛はたきを取り出し、神経質そうな手つきで車の埃を落とし始めました。
口をもごもごさせています。どうやらガムを噛んでいるようでした。
所作からすると新人ではなさそうなのですが、
見ていて目を覆いたくなるような落着きないしぐさに無性に腹がたってきました。
車の後ろに会社のロゴが入っていたので、当然ながらハイヤーの車です。
彼は一旦車の中に入ったのですが、ブレーキランプが点滅して、
「おっ、移動するのかな?」
と思ったら、再び外に出てきて、今度は隣のビルの入り口付近の方を注視し始めます。
「なるほど、お客様が出てこられるのだな」
すぐに女性が現れて車の方に向かってきました。
すると彼は媚びを売るように、番頭さんがよく手もみしながら
「へい、いらっしゃいまし!」といっているような、そんな仕草を見せて車に案内をするので
私は思わず
「なってねーなあ」
と心の中でつぶやいたのです。
あまりにかっこ悪すぎる。ハイヤー運転手の風上にも置けない奴だ。
一部始終を動画にでも収めて自分のみっともない姿を一度見せてやりたいものだ。
次から次にバッシングの言葉が浮かんでは消えていきました。
まあ、何もそこまで言わなくてもいいんじゃないかと思われるでしょうが
あのような人を放置しておくと、ハイヤー運転手はみんなあのようなレベルなんだと思われてしまいます。
ビシっと決めて仕事をやっている人まで一括りに評価されてしまうじゃないですか。いい迷惑になるんです。
サービスをするのなら、自己満足に終わらず、すべての所作が絵になるような芸術的サービスを目指してほしい。
誰かに見られているという意識を常にもってもらいたいものです。
都会の斬新なデザインを施したビルに囲まれたロケーションで
ワックスの効いた黒塗りの高級車から颯爽とお客様を迎えるのですから、
もっと絵になるような所作でサービスをするべきでしょ。
お客様はそれを内心喜ぶのです。
対価以上のおもてなしをすることで、お客様の満足を勝ち取る醍醐味をあの男はまだ知らないと見えます。
直接彼に忠告できないのは残念ですが、
ブログに記録として残しておけば、どこかで巡り巡って彼のもとにこの情報が届けられるかもしれない・・・
そんな期待をもって綴りました。
そこの新型フーガのあなた、
手もみしてぺこぺこして見っともないないでしょ!
いっそのこと、もう一度研修やりなおしたら?