目 次
「いらっしゃいませ
ハイヤーマンさまですね。ご来店ありがとうございます!」
車の整備の関係でレクサスディーラーに3か月に一度は行くのですが、はじめのうちは、もてなされることに戸惑いを感じていました。
事前に整備の予約をとるので、車を店にすべりこませると、すらっとした美形の女性が現れます。
車のナンバーを見て、ぺこりとお辞儀をし、おーらい、おーらい、と大きな声を出して手を振って、車を駐車スペースに誘導してくれます。
車が収まるのを確認すると、その女性社員がドアを開けてくる・・・
「どうぞこちらでお待ちください」
案内されるまま後についていくと、天井の高いつくりのちょっとしたサロンのような雰囲気の部屋に通されるのです。
「どうぞおかけになってお待ち下さい」
「はい、ありがとうございます」
こちらも思わず頭を下げてしまいます。
適当に空いた席に腰をおろすと、今度は違う女性が歩み寄り、ソファーに座っている私の目線の下に入るように膝を折りながら腰をかがめ、にこりと笑顔をむけながら
「お飲み物は何になさいますか?」
とメニューを差し出し尋ねてくる・・・
ここはカフェじゃないでしょうに・・・
いつもなら営業所の自販機で自分でコーヒーをいれている立場ですから、こうした非日常の、ちょっと過剰すぎるおもてなしを受けるといういのは何とも気持ちが落ち着かなくなるものです。
その影響なのか、女性が差し出したメニューにはいろいろな飲み物が書かれてありましたが、まともに読めたのは「blend」の文字だけだったので
「では、ブレンドで・・・」
「はい、かしこまりました・・・」
ぱたりと閉じたメニューを脇にはさみ、くるりと方向を転換して部屋を出て行く姿を気が付いたら私の目が追いかけていました・・・
お店の中
ぐるっと周囲を見渡し自分の置かれた環境の確認作業に入ります。
正面には50インチくらいの大きな液晶テレビが置かれ、
壁にはいくつかの絵画がかかっており
また、向かいの壁にはショウウィンドウがあって、その中にはレクサスのロゴの入った様々なグッズが陳列されている。
まさにサロンです。アメリカにおいてもレクサスはすごいといっていたお客様の話をふと思い出しました。
何がすごいのかって、とにかく一度車を購入すると、アフターサービスが充実していて
アメリカ人顧客のハートを鷲掴みにするんだというのです。
私は初めてレクサスのディ-ラーを訪れた時
あの時のお客さまの言っている意味を実感しました。
日本車の最高クラスは「レクサス」
今や世界の自動車業界トップを走るトヨタ
そのトヨタが5年に及ぶ準備を経て、1989年より北米マーケットを舞台に高級車路線を打ち出し登場したブランドがレクサスです。
日本では2003年2月にレクサスブランドを発表。12年の歳月を流した今、「L」のロゴも珍しいものではなくなるほど、いつのまにか日本の高級車市場でも欧州車のシェアにかなり食い込んでいます。
最高クラスのLS600はメーカー規模小売価格表をみると1000万から1600万円の間で値がついていてるにもかかわらず、多くの企業が社用車として導入していることもあって、東京都内を車で流してみれば、あちこちで目にしますよね。
時代の流れでしょうか、センチュリ-やクラウンはかつての威光に陰りが生じているようにさえ感じます。
どの企業も社用車選定では社長や役員たちの意向、そして取引先との関係も加味して何を導入するか決定するようですけど、日本の企業なんだから日本車に乗る。高性能で燃費も良い、故障もしない
そして、会社のメンツも考えて、やはり最高級車にしなくては・・・
そんな心理が強く働くのでしょうね。だから現行においての日本の最高クラスは、
「レクサス」でしょう。
個人では手が届かない・・・でも会社で買えば、
どうせ乗るならねえ・・・
みんな「最高級の車」に乗ってみたいのです。
かといって、車から受ける威圧感、権威みたいなものを極力和らげたいとう気持ちが働くのか、レクサスの場合、車の色も、真っ黒よりか若干少し紺を混ぜたものも多く出回っているように思います。どこまでも控えめな日本人らしい心遣いです。
実はアメリカの富裕層も段々とアメリカンドリームの象徴のようなコテコテ、ギラギラの高級車を嫌う傾向にあって、その潜在的不満を見事に市場調査ですくい取ったレクサスが北米市場に食い込んでいったというのです。
個人においては欧州車が根強い人気
ところで、個人レベルとなるとレクサスよりも外車に目がむくようです。
電気系統がやや弱いけれども、面白味がある・・
後部座席で漏れ聞こえるお客様の車談義は、もっぱら欧州車が優勢です。
乗務員仲間の声を集めると、仕事として車を使用するなら日本車が絶対によいと言う意見がほとんどなんですけど。なんといっても、日本人が好むように機能的な仕様にできているからでしょう。
以前私はお客様のBMWで仕事をした時は本当に大変でした。慣れれば問題にならないことですが、とにかく車が大きいこと、そして、右ハンドルでありながら、ウインカーとワイパーのレバーが逆ですよね。右左折で何度もワイパーを動かし、挙句の果てにウォッシャー液まで飛ばして恥ずかしい思いをしたんです。
それにナビが全く使えない。
5年前だったのですが、タッチパネルではなく、ダイヤルとボタン操作でした。オーナー車でしたから、そういうオプションには神経を使わないのです。
でも、乗り心地はやっぱり日本車と違うので、こういうところに車好きが魅力を感じるのだろうなあと思いましたね。
車両管理のご褒美
さて、このレクサスの手厚いアフターサービスをじかに受けているのは、社用車でレクサスに乗る役員運転手たちではないでしょうか。
彼らは預かった車を管理する立場ですが、そのほとんどがハイヤー会社所属か派遣会社から送られてきた人たちであって、所有している会社の役員たちではないということです。
普段はビルの地下駐車場の控室で寂しく待機している運転手さんたち。でも、車両管理のご褒美のように、少なくても点検時にはレクサスからのおもてなしをたっぷりと受けるようになります。
一時ですが、まるで車のオーナーになった気分に浸れるんですからね。実入りは少ないですがレクサスを扱っているというステイタス性は確かにありますよ。
営業所内でも、レクサスに乗ると、まわりから必ずといっていいほど
「レクサスはいいか?」と
なんとなくうらやましそうな目つきでたずねられるのです。
車にメールが来る
さて、整備が終わった翌日、車のエンジンをかけるとディーラーから来店のお礼をメールで送ってきました。しかも、それを自動音声で読み上げてくれるんですね。
何回か経験すると、システマティックなところがかえって違和感を覚えますが、それでも、こういうキメの細かいサービスを提供しながらしっかりとユーザーを取り込んでいく戦略を、日本だけでなく欧米にも適用しているというのですから、レクサスブランドの強みを改めて実感します。
コメントありがとうございます。
やり方が憎らしいほどきいめ細かいですよね。
最高級のサービスはホテルにおいてもそうですが、画一的ではない、「その人だけの最高のサービス」を提供するところのようですね。
はじめまして、いつも楽しく拝見させていただいております。
私も担当車のメンテナンスにレクサス販売店に参ります。
営業さんも、社用車のドライバーさんのプロ目線の感想はとても役に立っているとおっしゃっていましたよ。