運転手付き緑虫さんの出没

ハンドルを握る仕事をする者にとって
頭の片隅にいつも忘れてはならないのは
違法放置車両を取り締まる「駐車監視員」の存在。

俗称「緑虫」と人は呼んでいます。

駐車監視.jpg

久しぶりに彼らの仕事を目の当たりにしてしまいました。

所要時間わずか5分

台場にある東京ビッグサイトにお客様を送り
そこで行われる講演が終了するまでの間、
2時間ほど待機することになったので
西棟と東棟の間の片側3車線道路が延びる場所に車を回しました。

既に貨物用の大型トラックが数台並んで路上駐車していて、そのちょうど先頭に自分の車を横付けしました。

かれこれ3,40分くらい過ぎた時です。
ハザードランプをたいた白いワンボックス車がスーッと滑り込むように私の車の前に現れると、中から二人の年配の男性が出てきました。

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おお、緑虫!
駐車監視員です!

一瞬、
俺は車に乗っているからな!

変な防衛本能が働いて身構えてしまいました。しかし、当然ながら私の存在には見向きもせず、ゆっくりとした歩調で車の横を素通りしていきます。

どうやらお目当ては後ろに留まっているトラックのようでした。

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サイドミラーに映し出された後方のトラックの運転席には人影がありません。

彼らは実に落ち着いた所作で、運転席を覗き込み、さらに片手で車のボディーを軽くトントンとたたいて、中に人がいないか確認していきます。

時折周りを見渡しますが、かといって
急いで処理してやろうなどといった個人的感情は一切なく一つ一つ、マニュアル通り、淡々と作業を進めていました。

彼らにはノルマがなく、日当で雇われているといいます。
だったら適当に巡回して、さぼることもできるね・・
そう思われがちですが、彼らを歓迎するドライバーは皆無。遠くにいても一目瞭然
しかもお邪魔虫

一挙手一投足、自分たちの所作は注目されていることを知っています。

したがって、彼らが最も恐れるのは世間の「目」
さぼるなんて滅相もない・・・なんだそうです

現に今この場においても「私の目」によって穴の開くほど注視されているんですからね。
社会の秩序を守るという点で、重要な仕事の一つでしょうが、一生懸命やっていても人から感謝されないというのは力がなかなか出にくい大変な仕事ですね。

駐車監視員.png

さきほど彼らが私の車の前を過ぎる時に
手元の時計で時間を確認しておきました。
午後3時20分です。

車の主は一向に現れる気配なし

このままでは違反のステッカーを張られるのは時間の問題。

デジカメで車体を撮影し、手に持った端末に車の情報を入力すると
そろそろフィニッシュのようです。

とうとうその端末から何やら印字されたステッカーが出てくると、大きなフロントガラスの運転席側右端にぺたりと貼り付けました。

万事休す!

時刻は午後3時25分
結構時間が経ったと思ったのですが
なんとわずか5分で取り締まり完了。

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そして二人は何事もなかったかのように
さっきの歩調で私の前につけていた車にそそくさと乗り込みました。

その車は運転手付き

あら?、
私はてっきり一人が運転席に行くと思いきや
二人とも後部座席に腰を下ろしているではないですか!

目を凝らして良くみると、そのワンボックスには運転手がいました!
つまり、3人で行動していたのですね。

でもどうして運転手がいるの?
そうか・・・
それもそのはずです。
緑虫さんたちが、仮に乗っている車を路上に放置していたら
自分たちも道路交通法に違反しながら、
人の車を取り締まっている状態をつくるからですよね。

自転車や軽自動車で巡回している姿を目撃することはありましたが、あんなワンボックス車に乗ってくるなんて・・

ちょっとずるくないですか?

再び現場検証

彼らが立ち去ったあと私は車から降りて
後方のトラックのフロントガラスに貼り付けられた黄色い駐車違反のステッカーをまじまじとみつめました

駐車禁止.jpg

車のナンバープレートは白で
そこに「春日部」の文字

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埼玉の春日部からここまで足を延ばして
駐禁の切符を切られたんじゃ、やってられないよなあ。

誰にこの憤怒の気持ちをぶつけてよいのやら
地面を蹴り飛ばして
くそぉ~、ついてねぇ~

澄み渡った冬の空を仰ぎ
思わずそう叫ぶかもしれない・・・

運転者が警察に出頭すれば青切符を切られ2点減点。
出頭せずにそのまま放っておけば、減点は免れますが、大型車両なので放置駐車違反で反則金21000円を運転者または車両の所有者が納付しなければならない・・・

人の良い運転手なら
速攻で警察に出頭し、行政処分と反則金納付をその場で済ませ、何事もなかったように業務を続行する・・・
反則金さえ納めてしまえば
車の所有者には何の通知もいきませんからね。

どちらにしても、年末のこの時期に何かと入用なのに、この出費は痛いなあ・・・・

ハイヤー会社の駐車違反防止対策は?

2006年の道路交通法改正に伴い放置車両は時間に関係なく取り締まりの対象となるため
特に貨物車は荷物の搬出・搬入時に車を離れては緑虫の餌食とされてしまう・・・

ハイヤー会社では、
対策といった大げさなものはなく
とにかく、駐車違反で取り締まりを受けないために車を離れる場合には、コインパーキングなどの有料駐車場に車を入れるよう指導されるだけ。

もちろん料金は会社負担です。
それでも、駐禁の切符を切られる者が時折出ます。

特に駐停車禁止区域で待機してしまい
車にいながらにして、緑虫ではなく、
巡回中のパトカーや白バイにたまたま見つけられ、しょっ引かれるケース。

注意喚起のためわざわざ路面が赤で色分けされているところは誰でも気をつけますが、その色が剥げ上がってしまい、アスファルトの色と区別がつきにくいところは要注意。

お客様の迎えでピックアップしやすい場所を確保しようという意識が高じてそうなるのでしょうが、

ついうっかり・・・は、やはりダメ。絶対に避けなくちゃ。
仕事でハンドルを握る際には緊張感をもちながら周囲の状況に気を配ることが大切なんですよね。
こういうのを「プロ意識」と呼ぶんでしょうが・・・。

それにしても
春日部のトラック
21000円の反則金はでかいなぁ・・・

 

 


運転手付き緑虫さんの出没」への2件のフィードバック

  1. 東京ハイヤーマン

    そういえば、警察署前に駐車していた車両が緑虫さんの被害?にあった場面を目撃したことを思い出しました。
    車の運転手は警察書に用事があったようなのですが、あの時は、フロントガラスに貼られた黄色のステッカーを見て、激怒してましたね。
    一応不服申し立てというのができるようですが、
    実際、聞き入れてくれるのかどうか・・・・
    運が悪かった・・として
    もう気を付けるしか方法はないようで・・・

  2. GTV

    ミドリムシとは…お上手ですね。
    私は5年程前都内のコンビニ前に止めて5分離れた
    だけでやられました。
    狙っていたんでしょうね、姿が無かったですから。
    ミドリムシと言う藻から油が採れて近い将来日本は
    世界一の産油国になるようですよ。
    しかしこちらのミドミムシは警察官の大量退職の
    受け皿や時間貸しパーキング会社への官僚の天下り
    、法を味方にした罰金による税収アップ。
    個タクになれなくて人生を狂わせた人もいるので
    しょうね。
    気を付けます。

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