目 次
都心からお客様をお乗せして関越道を目指すとき、多くのドライバーが通る定番ルートが「5号池袋線 → 美女木ジャンクション → 外環道」です。
このルート、普段はスムーズに流れることも多いのですが――
「なんで高速道路に信号があるの?」
と、お客様から声が上がるのが、この美女木ジャンクションなのです。
信号のある高速道路ってどういうこと?
高速道路というと、スイスイと信号なしで走れるのが最大の魅力ですよね。ところが、東京近郊で唯一、信号がある場所が2つだけ存在します。
一つは有名な箱崎ジャンクション。そしてもう一つが、この美女木ジャンクションなんです。
この信号、見た目は普通の交差点にあるような信号そのもので、赤になると止まらざるを得ない。高速なのにストップ、って、正直言ってかなり違和感があります。
しかも、5号線で調子よく流れていた車列が、この美女木で突然ギュッと詰まるんです。渋滞の原因になっているのでは?と感じる人が多いのも、無理はありません。
なぜ美女木だけに信号が?
気になったので調べてみました。
実はこの美女木ジャンクション、首都高と外環道が直結している唯一の平面交差型ジャンクションなんです。上空写真を見るとよくわかりますが、まるで「ちょっと変わった交差点」が高速道路上に存在しているような構造。
なぜそんな構造になったのか――
答えは、「土地の制約」と「コスト」にあるそうです。
建設当時(1980年代末~90年代)は、今ほど用地買収がスムーズにいかなかった時代。特にこの美女木エリアは住宅や工場が混在しており、立体構造にするためのスペースが足りなかった。無理に高架やトンネルを通そうとすると、費用が莫大になり、周囲の生活にも大きな影響を与えてしまう。
その結果、苦肉の策として「平面交差+信号設置」という珍しい構造が採用されたのです。
◆美女木ジャンクションの建設過程
1969年(昭和44年)
外環道(東京外かく環状道路)の構想が正式に打ち出される。首都圏の交通混雑緩和を目的とした環状道路計画。
1972年(昭和47年)
首都高速5号池袋線(池袋〜戸田)開通。現在の美女木エリアに向かう路線の基盤となる。
1980年代前半
外環道(国道298号・有料区間)の用地買収が進められる。住宅密集地、工場用地が多く、用地取得が難航。反対運動や補償交渉が続く。
1985年(昭和60年)
美女木ジャンクションの計画設計段階に入り、「立体交差が難しい地形・土地条件」であることが正式に指摘される。代替案として「平面交差+信号制御」案が浮上。
1988年(昭和63年)
現地で工事着手。住宅・工場などの移転補償が一部完了し、交差構造部の整備が開始される。
1992年(平成4年)
外環道(和光北IC〜美女木JCT間)開通。美女木ジャンクションが正式に供用開始される。
※この時点で、日本で唯一の「高速道路に信号があるジャンクション」として話題に。
反対意見も当然あった
当初は当然、反対意見も多かったといいます。高速道路で止まることへの不安、安全性への懸念、なによりスムーズさを損なう構造に対する疑問。
しかし、当時の建設関係者によると、「完全立体化は予算と時間がかかりすぎるため、現実的ではなかった」とのこと。なるべく早く外環道と首都高をつなぐことを優先した結果が、現在の美女木ジャンクションの姿だったんですね。

外国と比べると?
ちなみに、ドイツのアウトバーンでは、高速道路に信号なんてまずありません。ジャンクションもインターチェンジもすべて立体交差で処理されています。合流する際も、追い越し車線に直接合流なんてことは絶対ないように設計されていて、安全性が非常に高い。
そう考えると、日本の道路事情や都市計画の難しさを改めて感じます。土地が限られていて、しかも人口密集地での開発はとても難しい。日本の道路は、ある意味で「限られた条件の中でのベストな妥協点」なのかもしれません。
でも、信号があることで得られるものも?
美女木ジャンクションの信号、実は「安全性の確保」という面では一定の意味を持っています。
交差点を高速で通過してしまえば重大事故になりかねない場所を、あえて信号で制御することで、ドライバーの注意を喚起し、事故のリスクを減らしているとも言われています。
確かに、車線が錯綜するようなジャンクションで「赤信号」があることで、一呼吸おいて周囲を確認できますし、慣れていないドライバーにも優しい設計かもしれません。
ドライバー目線では…
でも、やっぱり現場の実感としては「スムーズに流れてほしい」のが本音。
特にお客様をお乗せしているときに、この美女木で止められると、ちょっと気まずい空気になることも。
とはいえ、最近は信号の制御もかなり精密になっていて、交通量に応じて動的にタイミングを調整しているようです。以前に比べて渋滞の緩和は進んでいる感じもあります。
美女木は“ちょっと個性的な”ジャンクション
美女木ジャンクションは、首都高と外環道という二つの主要な動脈がぶつかる地点。その構造は、確かに不思議で、時に厄介でもありますが、それにはそれなりの理由があったんですね。
信号のある高速道路。最初は違和感でも、知ってみると意外と奥深い。
お客様と話すネタにもなりますし、ちょっとした“道路のうんちく”として使える話題かもしれません。
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