事前確定運賃サービスの登場
ハイテクノロジーを活用した顧客サービスを追求していこうと各業界で様々な取り組みがされている中で、ハイタク業界においても、時代の流れに乗った新しい顧客サービスの試みがあります。
それが、最近ニュースで話題になっている、タクシー料金の事前確定運賃サービス。
実証実験は終了した模様ですが、
(実証実験期間…2017年8月7日(月) 9:00 ~ 2017年10月6日(金)24:00)
ハイヤーの方では、すでにアメリカから上陸してきたウーバー社が、東京、福岡を中心に、スマホを使ってお客様のいる場所にダイレクトに配車し、カードで料金決済するサービスを展開しています。当初はハイヤーサービスを中心としていましたが、提携するハイタク会社が増えたとみえ、今ではウーバーアプリから「ハイヤー」「ブラックVAN」「プレミアムTAXI」「TAXI」を選択できるようになっています。
2020年 東京五輪を見据えたこのウーバーの動きに対抗するもくろみもあるのでしょうか。ついこの間(2017年1月末)初乗り運賃の改定をしたばかりのところへ、この矢継ぎ早のサービス投入の試みには、業界をけん引する大手ハイタク会社の危機感がにじみ出ていることを感じざるを得ません。
利用客のメリット
利用客にとっては、自分が行きたい目的地までの料金が一体いくらかかるのか、途中渋滞に巻き込まれてしまったときに料金はどうなるのか、また到着直前にメーターが上がってしまうあの独特の気持ち悪さを味わなくても済むというもの。
今まで、そのような経済的、心理的な面のせいでタクシーの利用に足踏みをしていた人たちも、このサービスが本格稼働すれば、利用率が飛躍的に向上するのではないかと思われます。
運転手にも優しい
運転する側にもメリットが大きいと思います。
お客様の反応に一喜一憂し、神経をすり減らすようなことが少なくなる。
渋滞に巻き込まれた時に、お客様同様、運転する側も料金の変動が気になっていましたが、それが解消されます。
また、道を間違えたり、回り道をしてしまっても、料金は既に確定しているので安心して目的地にご案内できるという意味では、運転する側のストレスもかなり軽減できるとても良いシステムではないでしょうか。
精神的負担の軽減から、より安全運転に集中できるので、営業中の事故抑制にも効果をもたらすに違いありません。
実はタクシーメーターは自分では絶対に動かすことができない、まさに聖域。
わたしがタクシー研修で経験した苦い思い出の一つに、「新人だ」と挨拶して、マニュアル通り、すぐさまメーターに手をかけ、乗車スイッチを押す。
すると、「やっぱいいや」と車を動かす直前にお客様に降車されてしまう場合があるのですが、
ワンメーター分の売り上げはその時点でしっかり計上されますから、精算時に自腹を切る羽目になるのです。(研修時には、すぐに配車デスクに連絡することで後程お金はもどってきましたが・・・)
また、いつも利用している区間だからと、「これでお願いね」と、最初に料金を投げつけるようにして出すお客様がたまにいて、実際目的地に着いてみると出された金額をはるかにオーバーしている。なんてこともあります。
お客様はしてやったりと気分がいいかもしれませんが、そんな時の運転手の胸の内は複雑でした。
事前運賃確定は、そういうお客様から受けるストレスから解放されるのです。
経営者側は頭を痛めているに違いない
一方、タクシー会社の経営者側に立つと、これがまた複雑な気持ちになるかもしれません。
何せ、このシステムを導入するのにある一定の投資が必要になりますし、また、収益の面でも、事前に決めた料金より、実際に走行した方が若干割高になるのではという実証実験の結果もあります。
数%でも減益してしまうとなれば、諸手を挙げて歓迎はできない事は言うまでもありません。
5年10年先、投資分を回収できるのか、そろばんをはじく音が聞こえてきそうです。
この形態はハイヤーと同じ
乗車前に事前に料金を決定し同意のもとで乗車する。
これって業界ではハイヤーがやっていることです。
という事は、このサービスが広く浸透するようになると、タクシーとハイヤ―の垣根はますます無くなり、違いというのは単に車のグレードだけとなるでしょう。
すでに最近ではハイグレードタクシーといって、クラウンやマジェスタハイブリッドクラスやアルファードなどのワンボックス車が登場していますし、MKタクシーでは、BMWやベンツといった外車まで導入していますから、そうなると
タクシー=提灯有り
ハイヤー=提灯なしの貸切車両
いってみれば、鉄道における、普通車、指定、グリーン車、新幹線といった区分けと同じようになっていくという事でしょうか。
会社、お客様、従業員、このどれもに恩恵をもたらすサービスなら拡散間違いなしなんですけれど、実証実験後の結果が気になります。
さて、どうなっていきますかね。
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