東京を眠らない街に 猪瀬知事辞職でどうなるか

東京を眠らない街に 都の公共交通機関24時間化

東京の都バスが24時間運行を試験的に行なうというニュースが飛び込んできましたね。

この一報を初めて耳にしたときに私はすべての路線で一斉にそうなるのかと勘違いしましたが、

実際には渋谷ー六本木間をまず試験運行させることから始めるというので、内心ほっとしました。

ハイヤーはタクシーとは違いますが、
「ハイタク業界」と呼んで一括りになっていますし、タクシー会社がハイヤー事業部を抱えている会社がほとんどであることからも、都バスの24時間運行、果ては公共交通機関24時間化の影響を心配してしまいます。

試験運行はどのようになされるのか

現在23時以降に深夜バスを6系統で走らせていて、
それらの最終バスは午前0時台に運行しています。(運賃は、通常の2倍の400円)

交通局によれば、利用状況は1回の運行で10数人~20数人程度。
そして今回渋谷ー六本木間のみ試験運行として、24時間化するのですが、
片道1時間に1本程度を想定して利用状況を調査した上で、他の路線についても検討していく予定だそうです。

車内には一人警備員を常駐させるので、
採算がとれるかどうかも関心の集まるところ。

TVで紹介していた街の声を聞く限り、反対する人はいません。

ただ、やはりタクシーなどの業種の影響を心配する声がありました。

タクシー運転手の声

都内を流すタクシー運転手の声の中には
渋谷ー六本木は深夜タクシーの稼ぎ場所の重要ポイント。
これが都内全体に拡散すると一日平均2000円の営収ダウンにつながるだろうと言ってます。

この声をもとに、ひと月だいたい13乗務から14乗務として計算すると、乗務員の給料は13000円から14000円のダウンとなりますね。

今後消費税があがり、物価が上昇傾向に転じていくと、この業界で働く人は深刻な影響を受けていくであろうと予測されます。

東京を眠らない街に

そもそも、都営バスの24時間運行は、13年ほど前の石原都政時代にも持ち上がっていました。

当時は深夜に都心からの帰宅便がなかったことで検討しましたが、実現しませんでした。

今回はというと、12月9日に辞職表明した猪瀬知事が、アメリカ・ニューヨーク市を視察した際に、この都市がバスや地下鉄が24時間運行し、眠らない街になっていることに刺激を受けたのが発端なんだそうです。

当時猪瀬氏は‘東京も都市を24時間化してライフスタイルを変える’と、かなり鼻息荒かったようですが、勇ましく旗を掲げたご本人が失脚してしまい、この構想がとん挫する可能性も否めません。

そうとはいえ、都心部の魅力アップを掲げての都市24時間化構想ですし、政府も産業競争協力会議で検討を進め、
「アベノミクス戦略特区として」後押しする見通しだというので、五輪招致を成功させた東京の目玉となるこの施策はなかなか現実味あるのではないでしょうか。

都営バス24時間化に期待する業界

この都市24時間化を大歓迎しているのが、
エンタテイメントやアミューズメントパーク、外食業。

新宿や渋谷、赤坂、六本木など、
深夜まで店をオープンしている居酒屋などは
お客様が店に滞留する時間が長くなりますし、2件目3件目と流れてくるお客様が見込めるというわけです。

また、コンサートや観劇、スポーツ観戦を楽しんでから、現在のように、まっすぐ帰宅しなければならなかった人たちが、ゆっくり食事をしてから帰れるようにもなります。

さらに、24時間運行バス路線が拡大し、地下鉄もそれに便乗してくると、国際化した羽田空港と合流するようになり、海外からのビジネス客や観光客の需要も取り込んでいくようになるでしょう。

危機感を抱く業界

一方、危機感を抱くのはタクシー業界に限ったことではありません。

終電を逃した人が帰宅できずに始発までの時間をつぶすためによく利用されるマンガ喫茶やカラオケ、24時間営業のファミレスも
「利用が減るのではないか」とけわしい顔つき。
ビジネスホテルなども宿泊客の減少を心配しています。

新しい施策を打ち出す時には、当然ながら
笑う業界と泣く業界が出てくるのは必然的です。

その辺のところをどのように折り合いをつけていくのかということと、泣きを見なければならない業界が、そのまま「泣き寝入り」するのではなく、新しいアイデアや工夫を凝らして対応する柔軟な態度をいかに持ち合わせるかも生き残りのカギとなることでしょう。

ハイヤー事業部も対岸の火事としてただ傍観していると、思わぬ飛び火を受けそうです。

備えあれば憂いなしですよね!