御客様からの変わった質問

羽田空港まで、パイロットを乗せて空港まで送るという仕事をいただいた時のことでした。
迎えに出向いたのは品川港南地区にあるタワーマンション
再開発で建てられた見えるその場所は
近隣にも同じような高さのマンションが数棟たっており、未来都市を彷彿させるロケーションです。

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昨今、国内線、国際線ともども増便し、また格安航空機の登場により、パイロットが慢性的に不足しているそうで、今では外国人のパイロットもめずらしくなくなったようです。

車の運転と違い、飛行機の機種ごとにライセンスが発行されるというし、そもそもパイロット志望の場合、ライセンス取得まで1000万を超える経費が必要だといいますから、それを支えるある程度の生活レベルが必要です。

とするなら、
こんなマンションに住むのはごく当たり前の感覚なんだろうなあ・・・

お迎え時間定刻10分前にマンションエントランスに車をつけて白手袋をはめ、車の前でお客様が出てくるのを待ちながら天高くそびえたつマンションを見上げて、そんな思いにふけっていると、
玄関奥からゴロゴロと車輪付きのキャリーバックを引く音が聞こえてきたので、来られたな、と身構えました。

「おはようございます。○○様ですね」
「はい、そうです。よろしくお願いします。」
御客様もどことなく恐縮した面持ちでした。

それにしても若く見えるなあ。
年齢はいって20代後半だろう。顔にはまだ幼さが残るまさに「青年」でした。

荷物を預かりトランクに入れている間にお客様は自分でドアを開けて乗り込んでしまいました。

すぐさま運転席に体を滑り込ませ再度挨拶をするとともに、目的地と経路の確認をしてアクセルを踏み込みました。

その場所からは芝浦ランプまでのアクセスがよく、いつも空港西で降りてターミナルに向かうのだといいます。

仕事としては特に難しいことはありません。
その日の道路状況もよかったので、順調に羽田空港に到着しました。

突然の質問

第二ターミナルの空港関係者入口に車をつけるためにVIP入口に入って先回しようとハンドルを左に切ったところで後部座席から声がしました。

「すいません、あのう・・・その白手袋どこで買われたんですか?」
「えっ?」

私はあまりに突拍子もない質問に始め何を言っているのか理解ができず
「何でしょうか? 手袋?」
と、とっさに聞き返してしまいました。

「手袋って、このことですか?」
「はい、なかなかよさそうに見えたで・・・
どこで買われたのかなあと思いまして。」
「はあ…」

ええ、こんなのがよさそうにみえるのか・・・
「でもこれは量販店で購入したものですよ。」

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そうなんです。
会社支給の手袋はデザインの悪さと、若干小さくて、もともと手も大きかったし、洗濯するとすぐ縮まって使い勝手が悪いので、近くの量販店でまとめ買いして使っていたのです。

「そうですか・・」
しかし、私はハイヤー運転手ですよ
私が握るのはハンドルで、あなたの握るのは操縦桿。
たしかに手袋は必要でしょうが、それをわざわざ初めて会ったハイヤー運転手に聞くのだろうか?

私はこの突拍子もない質問に本当に驚いてしまいました。
どうしてもあのタワーマンションから出てきた人とは思えない。

最近「あの人てんねんだね・・」
なんて人を表現をするのをよく耳にしますが、まさに「てんねん」そのものです。

今やデジタル時代でしょ。
スマホやタブレットが何のためにあるんでしょうか。白手袋なんて、購入しようと思ったらネットで検索すればいくらでも出てくるだろうに・・・

それにこういった仕事に必要なものというのは社内で配布していたり、あるいは購買部で手に入れることもできるはず。
そういう発想をしないのかなあ?

隣の芝は青く見えるといいますが、よほど私の白手袋がこのお客様の目にはきらびやかに
輝いてみえたのでしょうか・・・

と同時に
ちょっと大丈夫なのか?
そんな一抹の不安も抱いてしまいましたね。
ただ、私も過去に似たようなことがあったのを思い出します。

すぐにほしいというのではないのですが、
良いものに巡り合えたら買うぞ・・・
なんて潜在意識に刷り込んでいた思い・・・
それが突如目の前に、その良いものが現れた途端に、思わず、声をかけてしまった。
これだ・・・と

そんな心理だったのでしょうかね。

ただ、人は黙っていればよいのに
口を開いたばかりに印象を悪くさせてしまうことがあります。
しかも質問などしようものなら
その内容を聞いて、その人の考えているレベルがわかるものです。

CA(キャビンアテンダント)とクルー

操縦室に入る人たちはCA(キャビンアテンダント)とは区別して「クルー」と呼んでいます。

航空会社からこのクルーの自宅、空港間の送迎を専門に請け負っているハイヤー会社もあります。(イースタン、杉並交通、松崎交通など)

また、時折クルーに混じって研修生もハイヤーを利用しているのです。
この点を見れば、航空会社が、未来を担う若い人材をどれほど大切にしているか伺い知れますね。

今回のお客様はきっと、研修生じゃないでしょうか。

空の旅に責任を持つ立派なパイロットに育ってほしいなあ。

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仕事で使う白手袋

ところで皆さんは仕事で使用する白手袋をどうしてますか?
私は時折ホテルに横付けすると、ドアマンたちが着用している手袋に目がいってしまいます。

というのは、彼らの手袋はいつみても白く見えるので、(近くで確認したことはありません)普段どういう手袋を使用しているのだろうかと関心を持っているのです。

我が会社から支給されるものとは全然違うというのは見てすぐにわかります。
私の場合は、
先輩から白手袋は掌の部分に滑り止めのために
ゴムが塗布されているものが良いとのアドバイスを受けて現在ではそのタイプを使うようになりました。

汚れたら当然洗濯して使っていますが
ちょっと割高な方がモノもちが良いようです。

男は仕事の道具にこだわるといいます
ハイヤー運転手にとって白手袋は必須アイテムの一つ、自分のお気にいりのものを身近に置いておきたいものです。

 

 


カテゴリー:  ■日記
東京ハイヤーマン

東京ハイヤーマン について

東京出身。大学を出た後、教育関係の仕事に就く。その後いくつかの業種(新聞社、病院検査会社、不動産、リフォーム建築)を経験。2008年、ハイヤー会社に転職し現在に至る。 既婚 妻子有

御客様からの変わった質問」への1件のフィードバック

  1. アバターバスの運ちゃん

    私は、おたふく手袋の #3000 カーフレンドセーム(ホック付)270円を使用しています

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