オヤジもち

「おやじ」という言葉にはいろいろな意味があります

ウィキペディアで親父(おやじ)とは
「一般的には自分もしくは友人の父親を呼ぶ場合のくだけた呼称である。
転じて自分の上長(ボス)や店などの主人のことを親しみを込めて呼ぶ呼称となり、
さらには中年から壮年にかけての男性を親しんで、
あるいは見下して呼ぶ語としても使われる。」

と説明されていますが、ハイヤー業界用語としての「おやじ」は
お客様、特に、社長や会長クラスの人で専属の運転手としてついた場合、
その顧客のことを「おやじ」と呼んでいます。
ですから、単発的(スポット)に利用されるお客様に対しては、
この「おやじ」の呼称を使用しません。

それから、
一人の顧客に専属でついている状態を「オヤジもち」と言います。
乗務員仲間の会話で、「俺がオヤジもちをしていたころは・・・」
という具合に出てくるわけです。

オヤジになる人は、専属で運転手をつけられるような財力と
社会意的地位ある人ですから、
一般の人がなかなか接することができない人たちです。

そのような人たちが普段どんな仕事や生活をしているのか
興味津々ですよね。
残念ながら、運転手が口外することはないでしょう。
kanban.JPG
昨今、飲食店の従業員の非常識な行動を写真に収めて
ツイッターなどで公開してしまう事件が相次いでおりますが、
もしもハイヤー乗務員がそのような行為に及んだ場合には、
確実に個人に対する厳罰のみならず、その会社自体の存続さえ危ういことになるでしょう。
当然ながら守秘義務違反として乗務員は賠償を請求されることになります。

従って、公に固有名詞を出して自分のおやじについて話すことはありませんが、

同僚たちの間では、
「おい、お前の親父どうだ?」
「そうだな、あんまり車を使われなくてね。
都内決まったところしか行かねえんだよ。
おまけに、会食も少ないんでね。」

「それじゃ距離も出ないし、待機もつかないから
給料にならねえじゃないか」

「そうなんだ、困っちゃうよ・・・」

結局自分の実入りにどの程度影響があるかが
オヤジの良し悪しの判断基準となることが多いのが現実です。

ただし、おやじが社会的地位や認知度が高ければその分、
運転手として勤務することに誇りを持つようになり、
「おやじ」に気に入られて年数を重ねれば、
おやじとの阿吽の呼吸が生れ、
なくてはならない関係を築くことができますから、
より充実したハイヤーライフを過ごすことができるようになるでしょう。