サービスの質・・・ナッツがない

「こんばんは・・ あれ?」
店内に人気がない。
「あっ、そうか、今日は連休の初日だった・・・」
「どうぞ、どうぞ」
顔なじみの店員が迎えてくれたものの、
店内は閑散としていて、
店じまいしたのかと、思わず時計に目を落としました。
中華料理店.jpg
連休に入ると営業所の近くの飲食店は軒並み休みます。
しかし、そんな中で、いつも一軒だけ中華料理店が開いていて、
出番が連休にかかった場合、私はよくこの店の暖簾をくぐります。。

店員は、注文を取りに来ると同時に普段なら、御客様のいる手前、話すことはないのですが、
今日は店内に誰もいないため、この時とばかりに愛想よく話かけてきました。

周りが休んでいるのになんでネクタイなんか締めたまま食べに来るのか彼の興味をそそったのでしょう。

私は鶏肉の辛味噌炒め定食を頼むと、料理が運ばれてくるまでの間いくつか質問を受けました。
会社は休みじゃないのですか?
この近くに会社があるのですか?

まだ日本語がたどたどしいので、私もいくつか彼に尋ねました。
日本にきてどれくらい経つの?
親戚が日本にいるの?
貴方の家族は?

こうして店員と雑談を交わしていると
女性店員が頼んだ定食を運んできました。
鶏肉辛味噌炒め.jpg

いつもと違う

「あれ? いつもの女性じゃないね」
前の女性店員は昨年12月いっぱいで中国に帰ったとか。
へえ

私はその答えを聞きながら持ってきた定食に目をやると何となくですが、いつもと盛り付け方が違います。
ちょっと味噌が多いみたいだ・・・

さらに口をつけてみて味が違うので
ああ、これはいつもの人が作ったのではないな。

そして、さらに食べ進めると、あるものがないのに気づいたのです。
あるものとは、ナッツのこと。

この店ではじめて鶏肉辛味噌炒め定食を食べた時に
鶏肉とナッツが実によくマッチしておいしかったので
その後何回か足を運んで食べたのです。
そのナッツが今日はどこを探してもないのです。

きっとどこかに紛れているだろうと入念に箸でかき分けて探してみましたがやはり一つも出てきません。
ナッツがなければ意味がない・・
もう、我慢しきれずに、そばにいた店員に聞きました。

「これ、いつもと違う人が料理したんですか?」
「はい、料理長は別のところに行って、
今日は新しい人が料理したんです。わかりますか?」

「わかるも何も、
肝心のナッツが入っていないんですよ。
もう入れるのをやめたんですかね?」

私の言葉を聞くなり、そんなはずが・・・という顔をすると
すぐに厨房に入って行きました。
そして再び私の前に現れるや
「すいません、まだ来て二か月なんです。作り直しましょうか?」
なんだ、入れ忘れたのか・・・
「でも、もういいですよ、これ半分も食べているし・・・」
私は食事の途中にこのような「物入り」が入るのを嫌うタイプです。
彼の申し出をことわりました。

店をあとにして

さて、店を出て冷たい空気に身をさらすと、口の中が何となくすっきりしません
そうだ、ナッツだけでも入れてもらえばよかったな・・・
いつなく後悔の念が襲ってくるのです。

なるほど
「満足」というのはお客が期待しているものがきちんと提供されてはじめて得られる感覚なんだなあ

食べ物だけに、文字通り「後味の悪い気持ち」にさせられる・・・
潜在的な期待を持っていて、実現されるのが当然と思っていたことが
そうならない場合の心理的影響を今日は嫌に感じてしまいました。

何か悟れ ということか・・・

私は営業所に帰る道すがら、考えました。
いつもの・・・を頼んだのに、いつもの状態になっていなかった。
同じもののように見えてもその内容においてきちんと整っていなければ支払った対価に対する価値を十分提供していないことになるのか

あのマクドナルドやセブンイレブンがどうして人々の心をつかみ繁盛しているのか
それは、いつ行っても、どこの店でも、お客様の期待する「あの味」「あの品物」を提供し続けていてる結果である
これって、よく言われていることですよね。

自分がお客の立場に立って
今日のように期待した味の提供をうけられなかったことに対して「ダメ出し」してしまうと、もう二度と行きたいと思わない
結局御客様は無言のまま、立ち去っていくことになる。
この心理を「実感」したのでした。

自分の仕事に置き換えて考えると・・

これは仕事にも当然共通することです。
ハイヤーをご用命する御客様の無言の期待感
これを裏切らずにサービスを提供し続けることができれば
お客さまは決して離れていくことはないということなのでしょう。

こういう均一かつ、質の高いサービスを提供し続けようと思ったら会社をあげて乗務員一人一人のマインドに立ち入らなけらばなりません。
ハイヤー大手数社が業界未経験者を募り、徹底した教育をしながら新しい企業文化を創造しようと躍起になるのは、この「お客様の期待を裏切らないサービス提供」のためのマインド作りなのでしょうね。

こういうことを実践する企業は、その経営トップが切実にこの現実を感じ取った証だと思います。

お客様の立場に立った感性

サービス業に従事する者は、この「お客様の立場に立った感性」の感度がどの程度なのか問われますよね。
当然とばかり胡坐をかいて、「いつもの仕事」をこなしていては
こういうサービス感性の感度は鈍っていく一方です。

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さて、
あの店 どうしようかなあ。もう一度いってみるか?
でも、この後味の悪さゆえに当分の間足を向けることはないのかもしれません。

ご馳走様

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