ハイヤー会社には
「おこし」の仕事があります。
はて?
「おこし」とは??
食べる「おこし」ではありません
村おこしの「興し」でもありません
もしかして・・・
そうです。
乗務員を指定した時間に起こす
起床係のことです。
「●●さん起きてください」
周囲の人を起こさないように巡回し、指定された起床時間に、
懐中電灯の明かりを顔に照らし起こして回る「おこし」という仕事。
私はこの業界に足を踏み入れてまもないころ、
この「起こし」を専門に仕事として担当している人がいることに驚きました。
常時100人ぐらいを管理していて、
中には20年以上も従事している人がいました。
彼らは深夜12時以降から仕事が始まります。
乗務員は前日に出庫時間や起床時間、
ベット番号を指定の用紙に書き込み
起こしてもらうように手配します。
起こしは、その用紙をもとに、翌日早朝出庫予定の伝票と突き合わせ
間違いがないかどうか確認の作業をします。
そして早ければだいたい3時から乗務員を起こして回ることになります。
ハイヤーの仕事がどういうものかわかってくると
この仕事の性格上、「おこし」が絶対に必要な
いくつかの理由があることを知って、
なるほど、
それなら会社はそこに人材を置かざるをえないなあと
納得させられました。
「おこし」が必要となる理由
どんな仕事もそうですが、時間を守ることは大変重要です。
モノづくりの仕事であれば、「納期」となりますが、
ハイヤー会社は「先着時間」を守ることが仕事の生命線となります。
これが守れないと、
お客様が車を利用して立てた計画が
すべて狂ってくることになりかねません
責任重大です。
時間管理を乗務員それぞれに任せておくと、
仕事に大きな穴をあける可能性が大きくなります。
しかも、
そもそも乗務員は生身の人間ですから、
いくら本人に意識があって大丈夫だといっても、
自分で目覚ましをかけて起きることは結構大変。
残業があって業務終了が遅くなった場合などは、
睡眠時間が少なくなり、翌朝の目覚めに影響を及ぼします。
みなさんも、
目覚ましをセットして
たとえ目が覚めたとしてもなかなか起きれなかったり、
二度寝してしまって、気が付いたら1時間、2時間
また寝てしまったなんて経験がありませんか?
これを業務においてやってしまったら
今まで積み上げてきたものが一発で吹き飛んでいく可能性もあるので
そう考えると、この「おこし」の仕事はなくてはならない重要な仕事だとなるわけです。
また、実際。起こしてくれる人がいるという安心感は
乗務員にとって
たとえ短い睡眠時間でも安心して寝られるという利点があります。配車係も、余計な気を使わず、自分の仕事に集中ができてよいということになります。
このようなところに組織の連携プレーの重要性を感じます。
一人ですべてを賄おうということ自体無理が生じますから。
また、そうすることで、生産性も向上していきます。
ちなみに、
規模の小さい会社だと、配車係がこのおこしの仕事も兼任しているので、
ちょっと大変かもしれませんね。
いろいろな仕事がありますが、
このような普段日の目をみず、注目されない仕事こそ
なくてはならない重要な要素をふんだんに持ち合わせているということを改めて感じます。
縁の下でひっそりと今日も乗務員を起こし続ける方々に
現役乗務員の皆さん! 慰労の言葉と、エールを送り
「今後もよろしく頼みます!」とお願いしようではありませんか!