車関係の仕事をしてる人は車が好きなのだろうか?
ハイヤー・タクシー業界に足を踏み入れる人は
私もしかり、様々な事情から、
しかたなく入ってくる人がほとんどといってよいと思います。
すなわち、最初からタクシー運転手になりたい、
ハイヤーの運転手になりたいという人は
稀れであるということです。
乗り物を運転する仕事の中では、飛行機、電車、バスなどは、
子供のころから夢見ていたという人が多いようですね。
パイロットに至っては、若い時に目指さないと、
学ぶことがあまりに多いためについていくことができません。
ですから
「なりたい」という強いモチベーションが必要になります。
それでは、ドライバーという仕事を選んだのは、
車が好きだからなのかというと、
これが意外と少ないのです。
機械には強い、という人は結構いましたが・・・。
車好きのお客様
時折お客様の中で、車好きな方がおられて
話を合わせるに四苦八苦することがあります。
仕事を始めたころでした。
「運転手さん、いい車だね、室内も広いし、静かだしさ
これ排気量はどれくらいになるの?」
お客様は興味深々で聞いてくるのでした。
こちらはとにかく目的地まで安全運行しようと
経路などを一生懸命調べるあまり
乗っている車のことまで気が回っていませんでした。
お客様の質問に、一瞬ドキッとし、
胸の鼓動が高鳴ってくるのがわかります。
きた~ どうしようか・・・
瞬間的に出てきた言葉は
「たしか3000CCだと思います。」
「へえ、そんなんだ。新しいモデルなんですか?」
車についてはこれ以上話しかけないでくれ・・
悲鳴をあげたくなりました
もうここまでくると
いい加減な言葉がさらに続きます。
「いいえ、このタイプは二世代ほど前のタイプだと記憶しております。」
きえ~ 適当なこと言ってら・・
そうこうしているうちに、目的地に近づいてきました。
「お客様、間もなくご到着です。おつけする場所ですが・・・」
会話が何とか途切れてくれたので助かりました。
お客様が降車されるや、
すぐにダッシュボードにある車検証を引っ張り出して確認しました。
なんだ、これ2500CCなんだ
感心している場合じゃないでしょっ!
もう一人の自分が横でつぶやかれます。
私はこの日を境に、初めて乗車する車に関しては
必ず車検証を確認することにしました。