脅威のサービス 長野中央タクシー

心からのおもてなし 脅威のサービス

何気なく休憩室のテレビに目をやるや、
思わず立ち尽くし、見入ってしまった番組。
それは、今年2013年の流行語大賞になった「おもてなし」を実践し話題になっている企業、
長野の中央タクシー株式会社のレポート。

あとで調べてみてわかったんですが、
すでに「カンブリア宮殿」や「アンビリバボー」でも紹介されていたんですね.

長野の山奥にプレハブの社屋を構えるタクシー会社

タクシー100台程度、
その車はなんとドアが自動ではなく手動なので、運転手はわざわざ降りてきて、
いわゆる「ドアサービス」をするとのこと

お客様が荷物をもって来られるのが目に入ってくるや
すかさず車から飛び出してお手伝い。
家から旅行に出かける「いえたび」というのがあって
乗り合いタクシーを使った自宅からの日帰り旅行もあるんだとか。

県内観光地を周るだけでなく「歌舞伎座ツアー」
「咲いたら行くお花見ツアー」「孫と行く夏休みツアー」など
顧客のニーズに合わせた様々なプランを企画し、
しかも運転手たち自らが企画開発に関わることで、
他にない気配りの行き届いたサービスをつくり上げているというのです。

そもそも、
地方タクシーは東京や大阪などの大都市圏のタクシーがやっている流し営業をしても、お客様をひろうことが難しいので
電話で呼ばれるまで待機する形を取らざるを得ません。

こうなると、おのずとお客様の心をつかんでいる会社が伸びていくわけです。
この中央タクシーの場合
電話受けにもひと工夫していて、
一度利用された人はきちんと記録し
再度利用される際にはお客様の名前を直接呼ぶのだそうです。

そうすることで、お客様は会社に対し身内のような親近感や安心感を覚え
車を利用する際は迷うことなく中央タクシーとなる…。
リピート率90%という数字がそれをはっきり物語っています。
完全にお客様の心をつかんでいるのです。
感謝の手紙なんかもたくさん寄せられていて、紹介されてました。

サービスの質

テレビを見ていて、この中央タクシーが実践しているサービスって
都内のハイヤーがやっていることじゃないか・・・
あんなことやって営収につながるの?
つい実入りの方が気になります。

ところが、過剰すぎると思われるほどのサービスで
結果、長野のタクシー会社の中では、ダントツで売り上げナンバーワン

経常利益も、
一般のタクシー会社の平均をはるかに超えるものとなっているのです。

だいたい規模が小さいし
どうせ、個性の強いカリスマ経営者が
上から押さえつけているんだろう
どうしても擦れた目でみてしまいます。

「お客様が先、利益は後」

社長の宇都宮さんはやはりカリスマ性のある人柄で
しかも強い信念をもって経営にあたっていました。

だからと言って、
社員に過度なサービスを強要するように
徹底教育しているわけではなかったのです。
社長の経営理念とは

「お客様が先、利益は後」

これを徹底実践していました。
とは言っても、何か軍隊のような会社ではなく
全くの逆

社員同士とても仲が良く、
ふつうタクシー業界の離職率が20~30%であるのに対して
この会社は1.5%と、いかに社員の定着率の高い働き心地のよい会社か
ということがその数字からもうかがわれます。

話題になっているサービスは
乗務員一人ひとりが、よりお客様にどうしたら喜んでいただけるか
自主的に考え実践している社内文化からうまれていたのです。

都内タクシー会社の場合
近年飛躍的にサービスが向上し
人々のタクシーに対する認識は徐々に変わってきました。
銀座や六本木に行ってみればわかりますが、
タクシーをひろうのに、そう苦労はしません
夜は、もうタクシーの洪水です
ですから、
お客様はタクシーを拾うのではなく、
選ぶことさえ可能になりました。

すでに各タクシー会社は差別化をはかる努力として新人教育を充実させ
実際に教育したことを実践しているのか
定期的に社員がお客になりすまして自社のタクシーを利用し
チェックをしているわけです。

タクシーは「いってきまーす!」
と車を出庫させれば、あとは一人で営業、どこを走ろうが自由ですからね。
お客様を乗せても適当にあいさつして、
目的地まで間違いなく送り届ければ一応OK
クレームが来なければ良しとされてしまいます。

これはハイヤーも同じです。
逆に、サービス内容をチェックするとなれば
会社は乗務員を信頼していないなどと変な空気が社内に漂い、
かえってうわべだけの、形式的サービスしか提供できなくなるという
非常に難しい問題があります。

そもそも、
都心のタクシーはドアでこそ自動となっていますが
それでも迎車の場合など、外でお客様をお待ちして
乗り込む際には
ドアサービスを惜しみなくしているところも結構ありますから
敢えてこの中央タクシーの取り組みに
そんなに驚くことはないのです。

結果がものをいう

しかし
どしてこうもテレビで何度もとりあげるのか

これは、取材した人たちまでも感動してしまっている
「何か」がそこにあるからなのでしょう。

そして、それがきちんと収益に跳ね返っているという
ゆるぎない実績があるからです。

人は心を動かされたことに対して
自分の中にしまっておくことができないようです。
言われなくても、勝手に口が語り始めます。
あそこのサービスはすごいね

この「すごい」とは
結局お客様が支払う料金に見合ったサービス以上のものもを
提供しているからなのですね。

そして、それが、予想をしのぐ圧倒的量として提供されている場合は
爆発的に噂が噂を呼ぶ波及効果が増大していくのです。
ではハイヤーの場合はどうでしょうか?

中央タクシーにひけを取らないサービスを実際やっています。
にも関わらず、ほとんど話題になりません。

それは、
お客様が支払う金額がタクシーのそれと格段に違うからなのです。
利用者の心の中は
これだけ高い金を出しているんだ。
当然受けるべきサービス
こういう認識があるからでしょう。
ですから、ハイヤーの場合、お客さまを感動させるためには
相当レベルの高いサービスが要求されることになります。

教訓

企業は利潤追求のために
合理化、効率化をはかる努力をしますが、
それは間違いのない。失敗のない堅実な経営の仕方であります。
そこに
日本一になる、ナンバーワンになる
といった、高い志や目標を掲げ強いモチベーションになると
サービスを提供する人のマインド(心)の違いが
結果の差異を大きくするということがよくわかりました。
こういったことはみんな頭で理解はしているのですが
いざ、実践となるとなかなかできません。
人それぞれの考えの違いから
難しい問題になっています。

人を喜ばすこと、感動させることが
結局大きな利潤(収入)につながるということを肌で痛感している人にとっては
もう、見返りを期待せずに
自然に暖かなサービスを御客様に提供できるので
そういった心からのおもてなしをお客様が敏感に感じとり
結局良い噂が広がってさらなる利潤につながっていく・・・
そして、そこにはまた、サービスを提供する側の大きな喜びあり、
「やり甲斐」がうまれるため
さらにお客様へ心からサービスを届けたい気持ちが溢れていくのですね。
まさに
好循環です。

こういう好循環の生まれる環境をどうやったらつくれるのか
ここが企業のかじ取りをする経営者の手腕になると感じました。

サービスの原点を見せられたこの中央タクシーの取り組みの紹介によって
本物のサービスとは
相手を心地よくさせる、心からの私心なきお手伝いだ

ということを学びました。

よ~し がんばるぞ~

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