白ナンバー役員付運転手の注意点(1)

ハイヤー会社に入って、車庫番を通過した人にとって、役員付運転手になるということは、ある意味一つの「栄転」といってもいいかもしれません。

それは、より仕事がしやすい環境が与えられるためだからなんですが、
かといって、良いことづくめかというとそうでもありません。
いくつか注意する点も知っておくと良いと思います。

担当する役員との「相性」

役員付き運転手は、一般的に、乗車されるお客様がほぼ固定されます。
ですから、その人との相性がどうなのかという問題が出てきます。

大手上場企業の役員ともなれば、人格的にできた方が多いのですが、それでも人間ですから、少なからず好き嫌いはあるでしょう。嫌いだと言わなくても、苦手なタイプがあります。

歴史と伝統のある日本の会社の場合、役員になる人は基本的に人徳が備わっていて、尊敬できる人が多くいらっしゃいます。

一方会社の歴史が浅く、創業者が会長、あるいは社長の場合、カリスマ的実力の持ち主となると、要注意です。運転手の方が、役員に人格的に尊敬できないとなると、結構精神的にきつくなりますからね。

また、それは乗務員以上に役員からしても同じことがいえるのではないでしょうか。

ですから、最初の1~2か月は様子を見られます。
・役員としては、車の移動に関して気を使いたくない。
・だからこそプロのドライバーを雇っている
・なのに、この運転手はどうも気がきじゃない

こんな評価を受けてしまっては元も子もありません。

「私の腕」のみせどころ

運行予定があらかじめ出向先の会社から少なくても1週間分渡されます。
また、目的地までの所要時間に関しては秘書から問われることが多々あって、運行時間に対する責任の所在をこちらに振ってくるわけです。

それはこちらがプロのドライバーであると見ているため当然のことでしょう。その時に速やかに対応したいものです。

それから、もしも乗車された役員からイレギュラーに目的地が変更された場合や、急に会社のお客様が乗車されて、その方の指示された目的地に行く場合が私の腕のみせどころとなるでしょうね。

仮に地理に明るくなくても、自信と余裕を持った対応ができれば、その時を境に、より安心して運転業務に関して任せてくださるでしょう。

交代したばかりの方は、早い段階でこういった機会が必ず訪れますので、気持ちの準備をしておかれると良いと思います。

仕事の人間関係が狭くなる

ハイヤー会社に籍を置いていらっしゃる場合
営業所にいれば、デスクとのやり取りがあり、同僚との情報交換や交通情報などが耳に入ってきます。

朝礼もあったりして、毎日同じ仕事をするということはほぼありません。黙っていても刺激を受ける環境がいつもそこにあるのです。

ところが他企業へ出向しますと、まず営業所に顔を出す頻度が極端に減りますから、社内の人間関係が段々と希薄になっていきます。

同期で入社した同僚などとの関係を上手に作っている人はお互いに電話やメールで情報交換を怠らずにやっている人もいますが、それだって、そう頻繁にはできません。

中にはたった一人で派遣されるケースもあります。そうなると、全く一人で仕事をするようになってしまいます。

人間関係がわずらわしいと敬遠する人なら、絶好の環境になるかもしれませんが、それは自分の家庭や家族があっての話だと思います。
もしも独身一人暮らしの人ならば、時間が経つにつれて精神的にきつくなることが予想されます。

会社側もこういう問題を知っていて、あらかじめ人選の際に、なるべく妻帯者を推薦するようにしているようです。

仕事が単調になる

企業に出向すると、動く場所がかなり限られてくる傾向にあります。
半年もやれば、ほぼ行動のパターンを習得してしまいますから、だんだんと仕事から受ける刺激が少なくなるでしょう。

そうなってきた時にどうするのかということ。

ある時営業所で、役員運転手から解放され再び車庫番に戻ってきた先輩が、今仕事が楽しくて仕方がないと漏らしていた言葉を私は聞き逃しませんでした。出向していた時はよほど退屈な毎日を送っていたのでしょうね。

そうなんです。
乗っている人はいつも同じ。しかも都内行く場所が限定されているとなったら、意識していないと、だんだんと道を覚えなくなります。夜の会食も、行くところは銀座、赤坂、六本木、麻布、神楽坂界隈で、大体決まってくるじゃないですか。

公私混同の誘惑

どんなことでもそうですが、自由度が大きくなると、その分、責任も大きくなってきます。もしも自由が与えられたなら、それは責任が持てる人だと信頼され評価されたからなんです。それを忘れてはいけません。

これは誇らしいことだからこそ、是非大切にしたいものです。
そういう意味から、一番気を付けなければならないことは、公私混同することではないでしょうか。

特に会社の車を自宅に持ち帰る人は、車両管理において公私の線を自分の中でしっかりと線引きしておく必要があります。間違っても、自分や家族のための私的用事のために会社の車を使用することはやめるべきです。

これは言われるまでもない基本的なことですが、個人的な使用の際に事故などの問題が生じた場合、言い訳ができないため、顧客や会社からの「私」に対する信頼が一挙に崩れます。

こういう問題は、出向する時に会社側から面接で注意を受けていることでしょう。

しかし、出向して1年以上すぎると、預かった車の扱いに慣れ、自分の手足のようになっていきます。最初は高級車だからと気を張って運転していたのに、「慣れ」が気持ちの油断を作っていくんですね。

帰宅の際に、ちょっとスーパーによって買い物でもして帰ろう・・・こういった誘惑がそっと心に忍び込んできませんか?

プロのドライバーだという気概、自分に対する何らかの負荷を与え、確固たる精神的支柱をなるべく早い段階で構築していく必要があります。そうすることで私自信が守られ、私が背負っている責任(仕事、家庭など)をきっちりと果たすことができるのではないでしょうか。

公私の線をしっかりと引くことは非常に大切なことです。

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