「あれ? 後部座席、開かないんだけど……」
その一言で、車内の空気が一瞬にして張り詰めました。
私は一瞬、頭が真っ白になりました。
「え? 開かない……?」
お客様の言葉に驚きつつ、慌てて車外へ出て、外からドアハンドルに手をかけると——カチリ。普通に開くじゃないか。しかし、再びドアを閉めてみると、中からはやはり開かない。お客様が何度もノブを引いてみても、まったく反応しない。
「……これは、もしかして故障か?」
頭の中では、すぐにディーラーの顔が浮かびました。
「ああ、また点検か?」「でも今日は時間がない……」
そんなことを考えながら、とにかく次のお客様にはドアサービスで対応しようと割り切りました。
ところが——
偶然その様子を見ていた別のお客様が、苦笑しながらこう言ったのです。
「これ、チャイルドロックじゃない?」
「……チャイルドロック?」
その言葉を聞いて、一瞬フリーズした自分がいました。
確かに、そんな機能があったはずだ。名前だけは知っていた。でも、それが“どういうときに”“どういう動作をするものなのか”なんて、正直なところ、深く考えたこともなかった。
そのお客様はクルマに詳しい方で、後部座席からドアが開かない様子を見ただけで、
すぐに「チャイルドロックだ」と気づいたのです。
「えっ、じゃあ……故障じゃないのか?」
自分の中でその言葉が反響し、じわじわと顔が熱くなってくるのを感じました。
なんと恥ずかしい話だろう。
私はプロのドライバーでありながら、まさかの「チャイルドロックごとき」で慌てふためき、お客様にまで心配をかけてしまったのです。
チャイルドロック——。
それは、後部座席に座る小さな子どもが誤ってドアを開けてしまわないように、内側からドアが開けられないようにするための安全機能。スライド式やツマミ式でドアの側面にあることが多く、ドアを開けた状態でないと切り替えができないという特徴があります。
「まさか、こんなところにスイッチがあったのか……」
見れば確かに、ドアの側面に小さなレバーがあり、それが「LOCK」の方に倒れていました。試しに解除してみると、さっきまで開かなかったドアがあっさり開くではありませんか。
「うわぁ……完全に、自分の知識不足でした……」
なんとも情けなく、そして少し笑ってしまうような体験。
でも、同時にこれは、大事な“学び”でもありました。
皆さんも、チャイルドロックって、使ったことありますか?
正直、大人だけを乗せることがほとんどの仕事では、まず意識しないはずです。だからこそ、今回のように、意図せずどこかの拍子でオンになってしまっても、気づかないまま「故障だ」と思い込んでしまうことがあるんです。
今回の一件を経て、私は改めて「機能を知ることの大切さ」を痛感しました。
どんなに経験を積んでいても、基本を知らなければ、思わぬところで恥をかく。
そして、慌てた顔を見せることで、お客様にまで不安を与えてしまうのです。
今回の教訓
後部座席のドアが突然開かなくなったら、まずチャイルドロックを疑え!
……これ、メモしておきましょう(笑)
いつもの仕事が、時にちょっとした「学びの場」に変わる。
それもまた、ハイヤーという仕事の奥深さでしょうか。
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