目 次
事故ですか?
事件ですか?
刑事ドラマなんかで
110番通報をする場面、オペレーターから決まってこの質問を受けていますね。
で、実際どうなのかというと
事故現場から110番通報をしてみればわかりますが、そのごとく全く同じです。
我々プロドライバーにとっては事件よりも事故のほうが圧倒的に多いので
通報したとき「事故です」と答えると
「けがは、負傷者は?」と聞かれ
そしてこちらが事故現場がどこかを告げれば、警察が現場まで駆けつける時間を提示されます。
事故にあった友人の話
先日友人から聞かされたもらい事故の話は、まさにこのドラマのような展開ではじまったと言いました。
どういう状況で事故が起きたのかというと
青信号で発進し、三車線ある第一京浜を横ぎるように車を進行させていた時に、進行方向右から信号無視をしてきた貨物輸送のバンに自車の前方部分をぶつけられたというのです。
友人の乗ってた車はレクサスLS500ハイブリッド。高級車です。
車検のためにディーラーから代車として借り受けた車だったらしく、人の車に乗車中に起きた事故だっただけに、その精神的衝撃は大きかったようです。
ぶつかった瞬間、自分の身に何が起こったのか一瞬わからなかったということ。
そして、車が衝撃を受けて停止し、横からぶつけられたことがわかると、自分の方が信号を見間違えたのではないかと思ったそうです。
ドアを開けて車の外に出て、ぶつかった部分をみると、
フロントグリルはえぐられるようにそぎ落ちてしまったと、そのときに撮影した写真を見せてくれました。
これはひどい・・・
それで、本人も相手も怪我がまったくなかったというのだから奇跡です。
前方には、ぶつかってきた車が中央分離帯のところで停車しており、よく見ると
相手の車のよこ腹に自車の先頭があたったことがわかり、これでようやく自分の置かれた状況が飲み込めたといいますから、どれほど衝撃を受けたかが想像できました。
彼は、まず事故状況を写メした後、運転席に戻って大きく深呼吸をして自分を落ち着かせ、警察に連絡しました。
相手側運転手が車から降りてきて、
「怪我はないですか?」と、か細い声で友人の様子をうかがってきましたが、
相手の方がこの惨状を目の当たりにして顔面蒼白だったようです。
怪我がなかったのが不幸中の幸い
それにしても、こんな大事故を起こして、かすり傷ひとつせずに済んだというのは本当に不幸中の幸いでした。
もしも友人の車の速度がもうすこし速ければ、運転席横に突っ込まれていたかもしれないのです。考えただけでもおぞましい事故だったのです。
彼は青信号だから迷わず直進したのであって、相手は明らかに信号赤で突っ込んできたのだから、紛れもない信号無視をしたことが原因で起きた事故です。しかも、ぶつけた相手もその場で信号無視したことを認めたらしいのです。
ですから、これは警察が来たら当然署に連行されるであろうと思って話の続きを聞いていたのですが、実際はそうならなかったのです。
警察による現場検証
事故が起きたのが日曜日の午前中だったらしく、第一京浜はさほど交通量がなかったせいで、警察官が現場に到着すると、特に大規模な交通整理をすることなく事故現場の検証を始めました。
ぶつけてきた相手は運送会社の人で、車も営業車だったことから、近くにある営業所から責任者らしい人も駆けつけてきたそうです。
警官は加害者側の事情を聴きとった上で友人のところにきて、双方の運転手に外傷もなく、むちうちのような痛み等もないということを確認した上で、
今回の事故は物損事故扱いになります。
と警官から宣言されたんだとか。
相手が信号無視して起こした事故。これは明らかに道路交通法違反なのに、それを警察に自白しても物損事故って、それってありえないことじゃ・・・・と友人はその時の状況からみて信じられないといわんばかりでした。
その時の警察官の説明では、
衝突時、お互いの車が動いていた中で起きた事故だとし、、
ゆえに、過失割合は100対0にはなりません。と、まるで念を押すかのような説明を受けたというのですが、彼はただ、ああそうですかと受け入れるしかなかったらしいのです。
その話を聞きながら、私もなんだか納得がいかなかったのですね。
というのも、明らかに運転者本人が信号無視したから事故になったと認識し、自白もしているのだから、道路交通法違反で何等かの刑事罰を受ける必要があるだろうに・・・
そうだよねえ・・でもね
彼も同じように思ったらしいのです。しかし、警官から 「この事故は物損事故扱いになる」と言われた意味があとではっきりとわかったと、改めてその時調べて理解したことを私に話してきました。
「物損事故扱い」で分かったこと
結論からいうと
人に対する被害を与えず、物損事故を起こしても、基本的に反則金や罰金が発生することはないということなのです。
すなわち、事故として記録は残るものの、刑事処分や行政処分の対象とはならないということで、今回のように明らかに信号無視をして起こした事故であっても、双方に怪我がなかった事故では、以上のことが適用されるというのですから、当事者として驚くのも理解がいきます。
もし、友人が事故発生現場で何等かの身体的な問題を訴えたならば、警察としても人身事故扱いにし、病院で正式に診断書が出れば、加害者には何等かの刑事罰が科せられたというのですから、今回のような事故の話は何ともきつねにつままれたような気持になりました。
被害を受けた友人としてはこの処置について当初納得がいかなかったようですが
結局、双方怪我をしておらず、お互いの車が会社所有であり、加入している保険処理で済むということで実被害が自分に及ばないことが分かったので、一応丸く収めたという話でした。
逆に私は彼の話のおかげで、人身事故と物損事故のその後の保険処理などについてもネットで調べて確認し、改めて大きな誤解をしていたことがよくわかりました。10年以上もハンドルを握ってきて、このような事故処理に関する、いってみれば基本的事項についての知識がなかったことはいささか恥ずかしい話です。
営業中に事故を起こした場合、事故処理を専門に担当する人が社内に必ずいますから、状況を説明したあと処理はすべて任せてきたことが知らなかった原因の一つですが、事故というのは様々な要因から不可抗力で起こしてしまうことがあります。ですから、今回の友人の話は私にとって非常に学び多い内容がありました。
と同時に、普段漠然と安全確認をしながら運転をしてきたことを改めて、より安全意識を高めた運転をすべきであると反省させられた次第です。